胃ろう(PEG:経皮内視鏡的胃瘻造設術)は、食事を口から摂ることが難しい我が子の栄養を守るための医療処置です。
食道が狭くなってしまった場合や、腫瘍によって食事の通過が困難なケース、また神経の障害によって嚥下や咀嚼がうまくできない子の栄養管理手段として行われます。
さらに、頭や首の手術後などで一時的に口から食べることができない場合にも、回復までの間、体を支える重要な手段となります。
胃ろうは、“生きる力をつなぐケア”のひとつです。
犬や猫の中には、体の構造や体質から、食べることに困難を抱えやすい子たちがいます。
・短頭種は、呼吸や消化器に負担がかかりやすく、年齢とともに摂食や嚥下の機能が低下しやすい傾向があります。
・パグは、上気道症候群や嚥下障害を起こしやすい犬種であり、食べること自体が負担になるケースもあります。
・フレンチブルドッグは、解剖学的に食道にトラブルが起こりやすく、誤嚥や嘔吐を伴うケースが見られることも。
・シーズーは、特に高齢になると嚥下機能が低下し、食事中にむせたり、誤嚥につながることがあります。
こうした傾向を理解し、我が子に合ったサポートを早めに考えてあげることが大切です。
胃ろうが必要になるケースは、病気や年齢だけでなく、日々の小さな変化がきっかけになることもあります。
以下のような特徴が見られる場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談してみてください。
・高齢の子:年齢とともに嚥下機能が低下し、食欲が落ちたり、むせやすくなることがあります。
・慢性腎臓病:嘔吐や食欲不振が続き、必要な栄養が取れなくなることも。
・口腔内の疾患:歯周病や腫瘍などで、痛みや違和感から食事ができなくなるケースがあります。
・神経疾患:脳や神経の障害によって、飲み込むこと自体が難しくなる場合があります。
・長期間の食欲不振:原因がはっきりしなくても、体力の低下が進んでしまうことがあります。
「いつもと違うかも」と思ったときが、行動を起こす合図です。
早めの対応が、我が子の未来をやさしく支える第一歩になります。
胃ろうを通じて我が子の命を支えるためには、日々のケアと見守りがとても大切です。
以下のようなポイントを意識することで、トラブルの予防と快適な療養生活のサポートにつながります。
・清潔管理:胃ろう周囲の皮膚を清潔に保ち、炎症や感染の予防を心がけましょう。
・適切な栄養管理:獣医師の指導のもと、必要な量と種類の栄養剤を正しく与えることが重要です。
・チューブの管理:チューブの詰まりや損傷を防ぐために、定期的な洗浄と状態チェックを忘れずに。
・合併症の予防:皮膚の変化や体調のサインを見逃さず、早めの対応を心がけましょう。
胃ろうケアには、専門的な知識と細やかな気づかいが必要です。
だからこそ、獣医師としっかり連携をとりながら、無理のないサポート体制を整えることが大切です。
我が子のそばで寄り添い続ける介護者の心と体を守ることも、大切なケアの一部です。